稲盛財団寄附講座について

 大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)では、公益財団法人稲盛財団からのご寄附を受け、2012年4月より「グローバルな公共倫理とソーシャル・イノベーション」を全体テーマとする寄附講座を開設いたしました。本講座は、「国際協力活動における倫理とソーシャル・イノベーション」および「科学技術文明における公共倫理とソーシャル・イノベーション」という2つの大学院レベルの教育プログラムで構成され、また、関連する分野での共同研究や国際交流、社学連携事業なども積極的に進めてまいります。

 当研究科としては、本講座を通じ、稲盛理事長が贈呈式で述べられた「大阪大学で学ばれる学生たちが、専門性の追求だけではなく、公共倫理にも配慮した、横断的視点を持ちながら、社会を変革し、未来を構築するリーダーとしてさまざまな事態の解決に向けて学ぶ機会を得るように」とのご期待に応えるとともに、研究・教育から社会貢献まで幅広い活動を進めていく所存です。詳細はこちら【PDF】


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稲盛財団寄附講座贈呈式(2012年2月28日)

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(写真:稲盛和夫理事長)

 2012年2月28日、稲盛財団寄附講座の同年4月開設に先立ち、稲盛財団からのご寄附金の贈呈式が大阪大学中之島センター(大阪市北区)において開催され、同財団より稲盛和夫理事長をはじめ忽那武範理事・事務局長らが出席し、 大阪大学からは平野俊夫総長、東島清理事・副学長、星野俊也OSIPP研究科長ら関係の部局長や教員のほか、特任教授として本講座の教育に参画予定の薮中三十二氏など多くの方々が出席しました。 式典では、稲盛理事長から平野総長に目録が、平野総長から稲盛理事長に感謝状が、それぞれ手渡されました。
平野総長は、「大学は科学技術の最先端を生み出す場でありますが、同時にこうした科学技術が社会にどのようなインパクトをもたらすのか、文理の壁を超え、 さらに文明論的な視点も盛り込んで検討しうる場でもある」とし、「本講座の成果を学内のみならず、広く社会にも還元していきたい」と謝辞を述べました。


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スタッフの特徴

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(写真:薮中三十二特任教授)

 本講座の運営には、大阪大学のOSIPPを中心に、学内のCSCD(コミュニケーションデザインセンター)などの教員に加え、 新たに薮中三十二特任教授(元外務事務次官)や、様々なバックグランドを持つ4人の若手特任教員が参画します。パワーアップしたスタッフによって、講義だけでなく、対話型の討論や身体言語を用いたワークショップやプロジェクト型の演習など多様な授業形態を組み合わせ、より良い社会・文明・世界を築くためのイノベーション(革新)のあり方を探り、次世代のイノベーター(革新をリードする人材)を育てていきます。


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講座長より

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(写真:星野俊也教授)

 グローバル化の急速な進展と科学技術の目覚ましい進歩によって、 世界の動きと私たちの日々の生活との一体化がますます深まっています。 そうしたなか世界各地での紛争解決や多文化共生や貿易と開発、環境・エネルギー、経済危機などの諸問題への対応には豊かな想像力と斬新な発想が求められています。私たちはまた、2011年3月11日の東日本大地震に端を発する複合的な災害の経験から国際協力の尊さと科学技術偏重の社会の危険性も改めて実感しました。
国際公共政策研究科としては、民族や宗教や国境などに縛られず、グローバルな観点から生命の尊厳と希望の未来の構築に向けた公共政策の立案・形成・実施について絶えず考えてきておりますが、 この度、稲盛財団からの寛大なるご寄附による講座の新設を受けて、より広いスコープで活動できることを、大変うれしく思っています。本講座では、これまで主に社会科学からの観点に偏りがちだった公共政策の研究・教育の枠を大きく超え、他者の不幸や世界の不公正を私たちに共通の課題として鋭敏に感受し、高度な倫理観と革新的な発想とあふれる行動力で問題解決をリードする人材を育成してゆきたいと願っています。皆様からのあたたかいご指導をよろしくお願い申し上げます。

星野俊也(稲盛財団寄附講座長/国際公共政策研究科教授・副学長)



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